PBW(過去ログの一部になりきり要素注意)やその時ハマっているものの日記やら落描きやら。

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プロフィール

縁代まと@泰

Author:縁代まと@泰
ひっそりと生きている文章書き兼絵描きなオタク。
褐色肌スキーです。

PBWをメインにMMOやブラウザゲーム等を渡り歩いてます。
所持キャラ数は大体平均より多いので、それに苦手意識のある方はご注意ください。

▼memo▼
PBW:発言率は不均等
マビノギ:元トリアナ、マリー
ガンオン:全鯖&軍に所属。メインは1鯖ジオン
艦これ:まったりと提督業
トリネシア:名前は頭文字タ&ダ縛り
マイクラ:バニラだったりスキン変更していたり
pixiv:先行投稿はあっちだったりこっちだったり

コメント歓迎ですヾ(・ω・)ノ

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クラウン

by ブログパーツ時計の森
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【BNE】SS「Puppchen」

ヘルガ革醒時の話。
といっても革醒はオマケみたいな扱いになってまs(ry

誘拐犯が出てきますので、苦手な人はご注意ください。
6000文字+ちょっとくらいです。





「Puppchen」




 茶色い屋根に白く厚い壁、真ん丸な窓に透明な天窓。
 そこがヘルガの生まれた家だった。

 短い手足を動かし、片手に作ったばかりの花冠を携えて家を目指す。
 今日は友人から聞いた原っぱまで少し遠出していた。遠出といっても五歳児が徒歩で行き来出来る場所にその原っぱはあったのだが、行ったことのない場所、という事実のせいかヘルガはまるで大冒険でもしたかのような気分になっていた。
 そんな大冒険でゲットしたお宝がこの花冠だ。
 話に聞いた通りその原っぱに咲く花々はどれも近所では見られないものばかりで、ヘルガは夢中で花冠や花輪を作った。
 その中で出来の良い花冠二つを残し、他はいつの間にか合流した見ず知らずの子供達にプレゼントして帰路についたのが数分前。花冠の片割れを自らの頭にのせ、夕日に染まった道を進む。
 地平線に沈みつつある夕日は普段より大きく見えた。
 徐々に光を無くしていくそれを見ていたヘルガは、あることに気がつく。
 夕日に向かって真っ直ぐ伸びる道一本。それが今ヘルガが歩いている道だ。その道の先から、オレンジ色の光を背負って歩いてくる者が居る。

 なぜかはわからないが、ぞわり、と鳥肌が立った。


  ***


「ショーケースに飾られている人形は哀れだと思う」
 鼻歌混じりに男が言う。
「無機質なガラスに囲われると酷く無機質な人形になるんだ。僕はそれが嫌でたまらなくてね」
 両腕を後ろに纏め、皮製の拘束具で固定する。手首に痛みはあまりないが、なぜか肩が重かった。
 それが薬の影響とは知らないヘルガは、ただただ疲れた、と胡乱な感想を抱く。
「生き生きとした人形が欲しいと思っていた。――夢だったんだ」
 何なの、と問おうとした口は動かない。猿轡は呼吸しか許さなかった。
 男はヘルガの前にしゃがみ込み、酷く優しい手つきで頭を撫でる。
「夢を叶えてくれてありがとう」
 この子を……まるで生きた人形のようなこの子を生み出してくれた世界に感謝を。
 男は幸福げな顔で微笑んだ。

 薬が切れてきたのは明け方になってから。
 ぼうっとした意識の中で夜はとても短いものだったと記憶されていたが、ずっと曲げられていた足は軋むように疲労を訴え、長い時間の経過を示していた。
 男はどこかに出掛けているのか居ない。
 ここは大きな倉庫のようだった。生活に必要なものはひと揃えあるものの、絨毯が敷いてある所以外は冷たいコンクリートが顔を覗かせている。
 試しに小さく呻いてみると、仄かに反響した。
 視線を右にやる。小さめの猫足バスタブとシャンプー等が見えた。隣には個室トイレもある。左に目をやると、そこには簡易キッチン。使われた形跡はまだない。
 前方には本棚や机があった。様々な本が並んでいるが、タイトルは読めない。机の上にはぽつんとノートだけ置かれていた。
 生活感があるようで、まるでない。
(ドールハウス……みたい)
 モデルハウスよりも幼稚なもの。ヘルガはそう感じた。

 幸い机の上に置き時計があったため、時間の把握は可能だった。
 男が帰ってきたのは昼頃。缶詰やパンや雑多な食べ物を大量に抱え、陽気な挨拶をしてから後ろへと消える。恐らくヘルガが座らされているソファの向こうには冷蔵庫でもあるのだろう。
 食事の際は猿轡を外してもらえたが、この状況下で叫ぶ気にはなれなかった。
「………」
「ほら、温かい内に食べないと。……おや、泣いてるのかな?」
 ぽたぽたと手の甲を濡らす水滴を見る。
「仕方ないね……攫われた子は皆こうさ、しかしきみは大人しい。大人しくてとてもいい。人形は静かに涙を流すものさ」
「わたし、帰れないの?」
 絞り出すように訊ねられたそれに男は頷く。
「そうだね」
 返事は短く簡潔だった。


 最初の日を除き朝と昼と夜に食事、その他必要なことは訴えれば自由にすることが出来た。入浴時、仕切りのないそれに眉を寄せていると、男は離れてノートに何かを書き始め、今の内に入ってしまうよう促す。拘束具も数日後には一日中外されるようになった。
 それでも倉庫の戸は固く閉ざされ、男が出入りする時を除いて鍵がしっかりとかけられていたため脱出は不可能という事実にヘルガは憔悴する。
 窓がない倉庫からは太陽を見ることが出来ない。
 太陽が見たい。空を見上げたい。
 そうぼんやりと考えていると、ぞわりとした感覚が体を駆け巡った。
 余裕が出来たことで抑えていた望みが首をもたげる。

 ――家族に会いたい。

 両親は自分を探しているだろうか。兄は、姉は、心配しているだろうか。
 年齢に対してヘルガは大人びていたが、寂しく不安な思いを延々と抑えつけていられるほど大人ではない。
 その日は一日何も食べなかった。


 次の日も何も食べなかった。
 その次の日は無理やりスープを飲まされた。
 更に次の日はパンをひとつだけ。
 翌朝は沢山の服をプレゼントされたが、着せ替え人形のようだった。
 自分はどこまでも生きた人形だった。生きた人形として大切にされた。傷まないように気を配られ、髪を整え金髪に映える服を着せられる。

 男は幸福そうだったが、日に日にヘルガに生気がなくなっていくことを大いに嘆き、そして不安定になっていった。


     ***


 なぜ……と文字を書く。
 ノートの端から端まで万年筆を走らせ、人形の行動を事細かに書いてゆく。気付いたことや調べたことも共に書き連ね、明日はどうするか計画を立てる。
 ここまできちんとしているのに人形はどんどん弱っていった。
 生きた人形なのだから生き物と同じように扱ったというのに、何が間違っていたのだろうか。
 人形は要望があれば口にしたが、何か言いたそうにしながらそのまま黙ることが多かった。欲しているものはすべて与えたが、もしや何か足らないのだろうか……そうだ、きっとだから弱ってしまったのだ。
 ペットへ一方的にエサやおもちゃを与えるのとは違い、意思の疎通が出来るのがこの人形のいいところだ。
 生身の人間はさほど好きではないが、作られたもののように整った人間は違う。それはもう生き人形なのだから。
 そんな貴重なものをこのままただの肉と皮と骨にする訳にはいかない。
「きみには生きた人形であってほしいんだよ」
 撫でた髪が少し乾燥している。これではだめだ。
「だから聞かせてくれないかい。何がほしい? 何をしてほしい?」
 答えない口を見ながら頬をさする。涙の跡があった。これはいけない。
「欲しいものは与えるよ。さあ」
 緑色の瞳がこちらを見上げる。
「……帰りたい」
 それだけ言う。
 おかしなことを、と思った。
 片手で頭をがしがしと掻き、もう片手で人形の頭を撫でる。
「帰る場所はここだろう?」
「お……お父様たちの所に帰りたい、の」
「お父様?」
 至極不思議だった。
「人形に父親は居ないだろう?」


     ***


 ヘルガはここへ来て初めて暴れた。
 人形に親は居ない。居たとしてもそれは製作者だと言う男に何を言っても無駄と知り、その先に続く日々を垣間見て恐怖した。麻痺した心に沁み込む恐ろしい感情だった。
 目の前にあった顔を思い切り叩く。平手だったのは拳を握って殴る概念がなかったから。それでも不意打ちに男は数歩よろめいた。
 昂った感情の中、自分が人間を叩いたことにショックを受けて一瞬思考が止まる。
 男が体勢を立て直したのを見て無理やり思考を動かした。出入り口へと走り寄り、扉に手をかける。
 しかし引くまでもなく大きな南京錠を目にし、倉庫の端まで逃げた。その途中で振り返る。追ってきていると思っていた男はまだ同じ場所に居た。それが言い知れぬ不安感を煽る。
「…………」
 ぜえぜえと息を荒らげ、冷たい壁に背中を預けて男の様子を見た。
 呆然。
 そうとしか受け取れない顔をしたまま頬を押さえていた男は、腕をゆっくりと下ろした。頬はうっすらと赤くなっていたが、ヘルガの手ではさほどダメージにならなかった様子だ。それでも信じていた恋人に撃たれたかのような顔のまましばらく静止し、一分か二分か経ってからやっと目の前にヘルガが居ないことに気が付いたのか視線を動かした。
 隠れる場所のない倉庫内で、ヘルガが男の目に捉えられるのにそう時間はかからなかった。
 来ないで、と思う。
 思い始めた最初の十数秒はそれが叶った。だが倉庫の床を靴底が叩く音が響き、一歩ずつ迷うように男はこちらへと足を進める。 
 近づいてくるたびに男の表情の細部が見て取れ、ヘルガは思わず隣の角へと走り始めた。あちらの方がまだ距離がある、という単純な理由で、それが相手を刺激することにすら気が付かずに。
「ま、待て!」
 男が走る。伸ばされた腕を間一髪のところで避けたが、このままでは角に着いたところで追い詰められるのが見えていた。
 壁伝いに走った後、男の横を抜けるように方向転換する。
 咄嗟に伸ばした男の指が髪にかかった。
「っ!?」
 ぐんっと長髪を引っ張られ、ヘルガの視線が上を向く。
 だが驚いたのは男も同じ。とんでもないことをしてしまったと声を裏返し、手を離す。
「あ――あぁ、あ、ごめんよ。ごめんよ、傷つけるつもりはないんだ」
 ふたたび走り始めたヘルガに追い縋るように足を早める。
「でもどうしてこんなことを……驚いてしまった。いや、けれどそれは理由にはならないね……」
 不安げな顔。見当違いな言い訳を繰り返しながら再度手を伸ばすが、先ほどのことを思い出しびくりと引っ込めた。
「戻っておいで、怖くないよ」
「い、いや!」
「どうしてだい……ほら、髪をクシで整えてあげるから」
「そんなのいらない! ……っ!」
 絨毯の端に足が引っかかり、ヘルガは前へと滑るように転んだ。
 驚きの声を上げて助け起こしてくる男が怖い。
 優しい手つきが怖い。
 申し訳なさそうな顔が怖い。
 これは全部人形に向けられたものであり、そこに自分は存在しないのだ。

 父なら……頼れる父なら、どういう風に対応しただろうか。
 ヘルガは父が何の仕事をしているか詳しいことは知らなかったが、困った時はいつも助けてくれる父が大好きだった。
 たまに母に甘すぎると叱られながら、甘いお菓子をくれた。
 微笑む顔がおばあさま……父の母にそっくりだと言うと、笑ってくれた。
 怒ったところはほとんど見たことがない。ヘルガにとって父はどこまでも優しい存在だった。
 ヘルガは遅くに生まれた子供だ。兄はすでに大学へ通っているし、姉もスクールへと通っている。だからこそ甘やかされてきたのかもしれない。
「お父様……!」
 震えながら呼ぶ。
 声は最初の日のように緩く緩く反響した。


 ――怒りを湛えた顔の父が立っている。
「……え?」
 驚く男よりも先に反応したのはヘルガ。南京錠がごとりと落ちる音と共に開いた扉の先、眩しい太陽の光を背負いながら入ってきたのは紛れもなく父だった。
 見れば落ちた南京錠が真っ二つになっている。
「やっと見つけた」
 鋭い眼差しながら、安堵のこもった声音で父は言った。
「やっと、見つけた……ヘルガ」
 帰ろう。
 そう続けられた言葉に、ヘルガは涙をこぼしながら頷いた。


 ほとんど一方的と言ってよかった。元よりここに進入してくる者が居るとは思っていなかった男は目立った武装をしておらず、慌てて手にしたのは机の上にあったカッターのみ。
 対して父は刀身の長い剣を持ち、目にも留まらぬ速さで距離を詰める。
 力の差もリーチの差も歴然。それでも男が初撃をかわしたのは奇跡に近い偶然だったが、後はなし崩しだった。
 斬りつけられ失神した男の手足を拘束し、父はヘルガを振り返る。その顔は……情けなかった。
「ヘルガ! すまない、なかなか場所がわからなくて……こんなにも助けるのが遅くなってしまった」
 胸を撫で下ろしながら、娘が無事だったことに今にも泣きそうな父。さっきまで修羅のような顔をしていた人物とは思えない。
 ヘルガは駆け寄って抱きつく。
 妙な武器も、父の身体能力も、駆けつけた経緯も彼女にはわからない。
 それでも、父が助けに来てくれた……その事実だけで十分だった。
「……! お父様、怪我……」
「ああ――大丈夫、かすっただけだよ」
 素人が持つ刃物はたまに予想外の動きをするから、と父は笑う。手の甲には切り傷から血が流れていた。
 手当ての道具はない。父にとっては日常茶飯事な怪我だったが、そんなこと与り知らぬヘルガは気が動転した。そもそも幼いヘルガにとって、この滲み出るのではなく流れ出る血液は衝撃的すぎたのだ。
 遅れてそれに気がついた父は片手で隠そうとするが、それをヘルガが制止する。
 血が止まった。遅いスピードながら、ゆるゆると傷口が塞がっていく。
「これは……」
 父はこれも見慣れていた。
 父――父たちリベリスタにとっては、怪我と同時に多く目にする怪我の再生だ。それは自己再生であったり他者からの回復であったりと様々な理由があるが、今回は後者だろう。
 嬉しい気持ちはあったが、これからのことを考えると申し訳ない気持ちにならざるを得ない。しかし父はその表情をしまい込み、ヘルガの頭を撫でた。
「ありがとう、ヘルガ。もう痛くないよ」
「……私、何もしてないのに治っていったわ。何これ……?」
「何もしてないことはないさ。……あとで説明しよう、家でゆっくりとね」
 父はヘルガを抱きかかえ、電話をすると出入り口へと歩き始めた。父の仲間らしき男性が数人入れ違いに中へと入り、倒れた男へと何かしている。頭を掴まれた男は動かない。
 ヘルガは肩越しにそれを見た。
「あの人は……何だったの?」
「少女を誘拐していた悪い人だよ」
「私のことを人形って言ったわ」
「人形と思い込んだ女の子を狙って浚っていたからね。……情報は入っていたんだが、まさか娘が狙われるとは」
「……お父様は警察の人なの?」
 今まで一度も訊ねなかったことを口にした。だが父は首を横に振る。
「違う、けれど正義の味方……かな?」
 突き詰めて言うならば正義の味方などという綺麗なものではないが、疲れ果てた娘のことを思い、父はそうライトに説明した。
 ヘルガはもう一度、もう小さくなってほとんど見えない男を見た。
 やはり彼にとって自分は人形だった。
 彼にとって人形はとてもとても大切なものだった。
 ついに最後の最後まで、彼は「人形」を傷つけなかったのだ。
「悪い人が正義の味方に捕まったら……どうなるの?」
 娘の問いに父は一瞬黙る。
 仲間が記憶を操作し、男は先ほどのことをすべて忘れる。目覚めた時には一瞬前まで倉庫内に人形と居たというのに、いつの間にか留置所に寝かされていることだろう。その先は警察にお任せだ。
 なぜならあの男は考え方こそ常識からずれていたとはいえ、一般人に違いないのだから。
「……ヘルガが心配することはないよ。もう何も心配しなくていい」
 背中を優しく叩きながら父は停めてあった車へと向かう。
「あっ」
 ヘルガはポケットに手を突っ込み、ごそごそと何かを探し始めた。
 取り出したのはくしゃくしゃになった花冠。
 捕まった初日、無意識にポケットへとしまっていたらしいそれを着替えのたびにこっそり移していたのだ。
「また新しいのを作らなきゃ……でも、いまはこれで」
 それを父の頭にのせ、ヘルガは久しぶりに笑った。
「ありがとう、お父様」

 自分が革醒したこと、父も同じ存在であること、そういった人が集まる組織があることを知るのは数時間後の話。
 その時まで、ヘルガは車内で父の腕に頭を預けすやすやと眠っていた。

 

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