PBW(過去ログの一部になりきり要素注意)やその時ハマっているものの日記やら落描きやら。

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プロフィール

縁代まと@泰

Author:縁代まと@泰
ひっそりと生きている文章書き兼絵描きなオタク。
褐色肌スキーです。

PBWをメインにMMOやブラウザゲーム等を渡り歩いてます。
所持キャラ数は大体平均より多いので、それに苦手意識のある方はご注意ください。

▼memo▼
PBW:発言率は不均等
マビノギ:元トリアナ、マリー
ガンオン:全鯖&軍に所属。メインは1鯖ジオン
艦これ:まったりと提督業
トリネシア:名前は頭文字タ&ダ縛り
マイクラ:バニラだったりスキン変更していたり
pixiv:先行投稿はあっちだったりこっちだったり

コメント歓迎ですヾ(・ω・)ノ

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by ブログパーツ時計の森
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【SS】みちしるべ(日向)

や…やっと前回の過去話の続き(?)を書けた…(、、)
今回は「過去→現在」って構成になってるからご注意ー(笑)

あと妙に長ったらしくなったような気も…うん、する(ぁ)
お時間ある人だけ下へGOだぜ(’’)ノ


追記(07.9/24)
そういえば昔書いたSSにタイトルが似ていたので
ヒッソリと変更ー(笑)

 

みちしるべ




 ひとの記憶に残ること程、貴重なことはないと思った。


   ***


「違う、そこはもっと素早くっ」
「え、こ、こう…っ?」
 慌てて餡を餅で包もうとすると、餡がありえない所に付くわはみ出るわで悲惨な風体になってしまった。
「……ダメだなこりゃ」
 店長はため息混じりにそう呟くと、慰めるように日向の背中をぽんと叩いた。


 日向が「親公認の家出」をしてから一年弱。本当は1ヶ月程で家に帰っても良かったのだが、自由にして良いと父親は言っていたので現在まで伸びていた。
 父親がリュックに忍ばせてくれていた現金は大層な額だったが、一年も経てばもちろん底をつく。
 そこで帰れば良かった……のだが、日向は一度やってみたかったバイトをしてみることにしたらしい。
 しかしこの長身とはいえ、12才の子供を雇ってくれるところは正直ない。
 そんな中、ここが見つかったのは奇跡に近かった。
 三叉路の角に位置する小さな和菓子屋。看板はどう見ても日向より長生き中。なにせ店名が右から読みだ。
 日向はそこで見習いとして働くことになった。といってもお金を貰うのではなく、代わりに三食+寝床提供なのだが。
「だから餡が多すぎ、どう考えたって餅より量あるだろ…」
「ぉ…おお!ほんとだ…っ!」
「今か!今気づいたのか!」
 あちゃーと額を押さえると、店長はそばにあった椅子に腰を落とした。
「俺も昔は無茶をした…。そういうことでお前をここに置いてるが、そこまで下手くそじゃなかったぞ」
「えーと、餡の量は五百円玉くらいと……」
「聞けってだからっ」
 一心不乱にメモを取る日向にチョップ(結構本気)を入れた店長は、鼻から息を吐いて言った。
「――日向、お前にゃ目指すべき味が必要みたいだな」


 白蛇の「紐」に夕飯のコオロギをやりながら、日向はぼんやり考えていた。
 たまたま雇ってくれたのが和菓子屋だった。だから自分が目指したい和菓子の味などすぐには思いつくはずがない。
 自分の好きな和菓子を思い浮かべる。
 正直、種類や名前などはよく知らないが……
「あの茶菓子かなぁ…」
 日向は昔、家で食べた和菓子を思い出す。見た目は桜色で、中に白餡の入ったものだった。あとから聞いたが、それは祖母の手作りだったらしい。
 それは「和菓子は苦いかパサパサ」という印象を持っていた日向が、初めて美味しいと思えたものだった。
「でもアレ……」
 食べたのは6才の始め頃。

 さて、どんな味だったろうか。



「ん?…なんだ、コツでも掴んだのか?」
 しばらくして、ふと店長がそんな言葉を漏らした。
「……ざ、材料費は後ほど必ずっ!」
「出世払いだからな」
「…あ、…れ?よ、夜中にちゃっかり練習してたの知って…?」
「そりゃ、あれだけごっそり減ってればわかるだろ普通。…練習作はどうしたんだ?捨てたなんて言ったら和菓子神に謝らすぞ」
「(和菓子神…?)えと、全部ここに…」
 日向は腹を指差す。
「よーしよし、えらいな」
「えへへ…♪」
「ただしバカの称号をやろう。ある程度まで来たら師に見てもらわなくてどうするっ」
 今回は後頭部に張り手が入った。
「それで、お前の目標は何になったんだ?」
「ぃて~……っえ?えと…昔食ったお婆様の茶菓子、かな…」
「なるほどなるほど……」
「味なんて忘れてたけれどさ、練習してたら味が近くなってってる気がして……」
 甘さは控えめだったとか、皮は分厚かったとか、そんな細かなことを1つ1つ思い出しながら作っていた。
「ただ、まだあの味の再現を出来なくてさ…」
 日向は表情を曇らせる。
「そりゃあ、すぐに出来たら苦労はいらないだろうな」
「…ごもっともで……」
「まあもっと頑張れ。今度は横で見てやろう」
 店長は子供のようにニッと笑う。
 ……スパルタに磨きのかかる予感がした。


***


 人工池の近くに、古いがそれなりに大きな病院がある。
 日向は肩掛け鞄に手を添えたまま、院内の病院をうろうろしていた。
「やだなぁ…俺こんなに方向音痴だったっけか…?」
 部屋の入り口にある名札をひとつひとつ確認する作業を開始してから早10分。
 もしかして階を間違えたのかと危惧し始めた時、日向はやっと目的地を見つけた。
 控えめにノックをする。
 中から顔を覗かせたのは50代ほどのおばさんだった。柔和な顔つきで少しふっくらとしている。
 おばさんは少し驚いた顔をすると、嬉しそうに日向を中に招き入れた。
「もう着くって電話をもらってから1時間も経ったから、おばさん心配してたのよ?」
「いや…道から見えてた建物が別のやつで…。こっち着いてもなかなか部屋が見つからないし散々だったぜ」
 すすめられた椅子に座って伸びをしながら日向は言う。
 おばさんはくすくすと笑うと、自分もベッドの脇に座った。
「あなた、この子やっと着いたのよ?」
「店長、久し振り…かな」
 真っ白な枕と真っ白な布団。真っ白なベッド。
 そこに寝かされた店長は、

「――っくしゅッ!」

 顔色に似合わぬとても元気の良いくしゃみをした。



 9月に入ってすぐだったろうか、風邪をこじらせた上に腹膜炎にかかった店長はギリギリまで渋ったものの、この病院へと入院した。
 常人なら泣き言ばかりになるほど痛かったはずなのに、入院している間店を閉めるのが嫌だったらしい。それを最初に聞いた時、日向は、
「さすが店長だなぁ」
 と変わらぬ師に感動を覚えたという。もちろん心配はしたが。
 入院し適切な処置を受けた店長は、点滴はしているものの食欲も回復してきたそうだ。

「初めに入院って聞いた時はビビったんだぞー?」
「はっは…そりゃ、当たり前のように受け入れられちゃ困るわなぁ」
「……や、確かにそうだけどさ」
 苦笑する日向の前で、店長はふと何かを思い出したかのような顔をした。
「そういや…今学校に通ってるのか?日向」
「ん?んー、うん。今年で高3♪」
「勉強はちゃんとついてけてるか?」
 にやりと笑う店長に日向は頬を掻く。
「まあまあ…かなぁ、ヤマが外れるとエラいことになりそうだ」
「菓子も勉強もまだまだ、ってことか」
「むっ…和菓子は多少は成長したんだぞ?あれから5年近く経ってるんだしっ」
「ほー?その間に俺の舌も肥えてると思うんだがな」
 うっ、と詰まる日向に店長は大きな声を上げて笑った。
 本当に回復は早いらしい。内心ほっとしながら日向は、持って来た荷物からごそごそと箱を取り出した。
「なんだ…?」
「噂をすれば何とやらっ!土産にでもと思って作ってきたんだ」
 フタを開ける。
 中には丸い桜色のお菓子。
「…白餡か、小振りだが形も崩れてないな…シンプルだが見た目は75点前後か」
「う、こんな時まで採点はよしてくれよ~。まずは気軽にどうぞっ!」
「ははは、それじゃあ1つ貰うかな」
 店長は手の平に乗る程のそれを摘むと、ひょいと口の中へと入れた。
「……」
 日向は力の入った表情をする。
 早起きして作ってみたが、さて師の評価はどうだろうか?
「………美味いな」
「ホントかっ?わぁわぁっ!嬉しいっ!」
「が、やっぱり少し餡が多い」
 ぶはっと吹き出し突っ伏す日向に店長は口の端を持ち上げた。
「でも美味い。…これ、あの時練習しまくってたやつだろう?」
「あっ…わかるか?見た目は結構変わったと思うんだけど…」
「どれだけ俺が失敗作を食ったと思う。というかあの時の見た目が酷すぎるんだ」
「う、うー…」
 うな垂れる日向の頭をぽんぽんと叩き、店長は二個目を口に運ぶ。
 その顔はどこか父親のように見える顔だった。


 時は過ぎて外は夕闇に包まれ、日向はそろそろ帰ろうかと席を立つ。
「じゃあまた来るな?」
「ああ、その頃には退院しているかもしれんがな」
 有り得そうなことを言うと、店長はニッと笑った。
 そして呼ぶ。
「日向」
「ん…?」
 笑みを浮かべたまま、店長は続けた。

「お前も誰かの道標になれるような菓子、作るんだぞ」

 一瞬の間を開けて、日向は嬉しそうな笑みを返す。
「おう、もちろんだ」
 誰かの目標になれるような、そんなものを心を込めて作ってゆこう。
 心の中でそう決意した日向の背中を、店長は優しく応援するように叩いた。



END

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